05:手荒い逃走劇
男たち二人組は、それからしばらくバタバタしていた。車から食料を持ち出したり、アタッシュケースの中身を確認したり。俊之が遠目からそれを確認したところ、その中には、大量の札束が入っていた。
強盗……?
そういえば、この男たちがどんな悪いことをしたのか今まで分からなかった。とにかく逃げ回っていたのだが、お金を奪っていたのか。
正直なところ、俊之はホッとしていた。万が一、彼らが殺人を犯していたら、自分は殺人鬼と共にいることになる。そんな状況、幽霊と一緒にいることに匹敵するくらい恐ろしい。――もちろん、その幽霊には、久美子や弘樹は入っていないのだが。
エントランスの隅に転がされながら、俊之はボーッとものを考える。
……実里は、もう逃げただろうか。
一抹の寂しさが胸をよぎった。もちろん、早くここから逃げ出すのに超したことはないのだが、それでも、味方がいないというのは思っている以上に俊之を不安にさせた。
せめて、久美子や弘樹の顔だけでも見たかったのだが。
そう考える俊之の側を、冷たい風が通り過ぎていく。俊之はぶるっと身を震わせた。
「おい、お前か? 窓を開けたやつは」
「んなわけねえだろ。もともと開いてたんじゃねえの」
俊之が顔を上げると、確かにエントランス近くの窓が開いていた。丁度数センチ開いている程度で、言われなければ気がつかないほどだ。
「……おい」
「わーったわーった、閉めればいいんだろ!」
無言を命令と受け取ったのか、ひげ面は面倒くさそうに立ち上がって窓の方へ近づいた。そして枠に手をかけ、カラカラと閉める。
なんてことない動作だった。俊之もタバコの男も、彼から視線を外していた。
「わあっ!」
だが、突然ひげ面が叫び声を上げたので、二人の視線は共に彼へ向く。彼は青白い顔をしたまま、後ずさっていた。
「い、今、外に白い影が……」
「白い影? 鳥でも見間違えたんじゃないのか?」
「んなわけねえだろ! 確かに、白い何かが……女みたいな……」
「馬鹿馬鹿しい。おい、俺がさっき言ってた話を真に受けたのか? あんなのは、ガキどもをここに近づかせないための大人の方便に決まってる。男がそんなものにびびるんじゃねえ」
「で、でもよお……」
男が足早に戻ってくる。彼の気持ちは俊之も痛いほど分かった。――やっぱり、幽霊を怖がるのは俺だけじゃないんだ!
そしてそう間をおかずに、今度は上からトントントン、と軽やかな足音が聞こえてきた。男はまたしてもビクッと肩を揺らす。
「おい! 今のはさすがに聞こえただろ!? 聞こえたよな!」
「――確かに聞こえた。だが、今のは幽霊じゃなくて、人間の足音だろ。それも、大人じゃなくて子供のものか」
スーッと視線が俊之に注がれる。俊之は無意識のうちに背筋を伸ばした。
「ここにはお前一人だと言ったな? 俺たちを謀ったのか?」
「し……知らない。俺は一人でしか……」
「まあいい。二階を捜索するぞ」
「ほ、本気か? 何かいたらどうするんだ」
「何かって、いるにしてもただのガキだ。怯えることもあるまい。……ガキも連れて行くぞ。忘れんなよ」
「分かってる……」
人間、自分以上に怯えている者がいると、自分はそれほど怖くなくなってくる不思議。
俊之は二階を捜索と言われても、別段怖くもなんともなくなってきていた。といっても、隠れ鬼の時に散々散策していたため、むしろこれで怖がっていたら、『ただのチキン野郎』が『超チキン野郎』になってしまうというもの。
それでも俊之は、気を引き締めることにした。あの賑やかな幽霊たちのことだ、きっと脅かしてくる。手助けのつもりなのか、面白がっているだけなのか、はたまたそのどちらもあり得るのかは分からないが、絶対に何か仕掛けてくる。
隠れ鬼の最中、彼らに散々からかわれた俊之はそう確信していた。
乱暴に担がれたままの俊之は、ずっと上を見ていた。脅かしてくるなら、やはり二階からだろう。
しかし、だからこそ、すぐに彼は気づいた。二階の階段から、小さく、ひょっこりと顔を出している実里に。
「――っ!?」
声こそ出さないものの、俊之は仰天した。そんなところで何をしているのか。むざむざと捕まるつもりだろうか?
だが、実里は何か行動を起こすわけでもなく、ただ俊之を安心させるかのように微笑むと、そのまま姿を消した。男たちが階段を上ろうとしているときだったので、それは当たり前のことだが。しかし、それでも俊之としては拍子抜けである。危険を冒してまで、一体どうして彼女は姿を現したのか。
……もしかして、元気づけようと? 諦めるなと言いたくて?
そう俊之は思い至ったが、実里の真理は分からない。しかし、彼女の存在で、少しだけ勇気がもらえた気がした。
「……誰もいないな。どこかに隠れてるのか?」
「もういいだろ? こんな気味悪い場所、これ以上捜索しても無駄さ」
二階にたどり着くと、男たちは俊之を連れたまま二階を捜索した。さすがは実里と言ったところか、彼女が始めにこの廃墟のことをよく知っていると言ったのは過言ではないのか、うまい具合に彼らの捜索の手を掻い潜り、見つかることなく隠れていた。俊之としても、彼女がどこに隠れているかはさっぱりである。
「今日はここで寝るか」
「……気味悪い場所だな」
「他にいいところがあるか?」
捜索に疲れた男たちが足を止めたのは、数ある病室の中の一室である。ジメジメしたベッドが立ち並ぶ中、二人は適当に叩きながらそこに腰を下ろした。
「埃だらけじゃねえか、きたねえな。こんなところで一夜明かすのか……」
「ダラダラ文句言うな」
タバコの男は苛立ったように短く切り捨てた。
「俺はもう一度この廃墟を探索してくる。お前はそこで子供を見張ってろ」
「俺を一人にするのか?」
「ガキみたいなこと言うな。情けない」
無碍もなく言い捨てられ、ひげ面はそれ以上何も言うことはなかった。タバコ男が出て行った後も、無言で大人しくしている。
「ったく……」
しかし、明かりは窓から差し込む月明かりしかない今、ずっと無言でいるのは精神的にきつかったのか、男はちょっとごそごそした後、俊之に顔を向けた。
「――お前はまたどうしてこんなところで秘密基地を作ろうと思ったんだよ。幽霊の噂、知らなかったのか?」
わずかに躊躇った後、俊之はおずおずと口を開く。
「……知ってました」
「ならどうして」
「ここで秘密基地を作ったら、友達に自慢できるかなって。できあがったときに、友達を招待できたら格好いいじゃないですか」
驚くほど、スラスラと嘘が口から飛び出した。ひょっとしたら、自分が考えている以上に実里の存在に、勇気をもらったのかもしれない。
「――でも、やっぱり止めます。俺も、今日初めてここで幽霊見たんです。正直、腰を抜かしました」
「……本当か? 本当にここには幽霊がいるのか?」
男の額から、ツーッと冷や汗が流れ落ちる。俊之はわずかに自嘲のような表情を浮かべて首を縦に振る。今更ながら、『からかうのが面白い』といっていた、あの女性の幽霊の気持ちが分かった。
「俺……僕も正直信じていませんでした、ここに来るまでは。みんながただチキン野郎なだけなんだろうって。……でも、ここは本当にヤバい場所だった。一人二人なんかじゃない、十人はいるんです、幽霊が」
「どこで見た」
恐怖のあまり、男の声に凄みがきいている。俊之も一層声を落とした。
「そう、ですね。初めて遭遇したのは、確か丁度この部屋だったかな……」
「……こ、ここか……?
男の喉がごくりと唾を嚥下した。
「ベッドの下から、長い髪の女性が……出てきたんです」
「――っ!」
真っ青な顔で男はその場から立ち上がった。ベッドの下は決して見ずに、ベッドから飛び退く。
「お、おお、脅かそうったって、そうはいかねえぞ! お前、俺をからかってるんだろう!」
「まさか! 僕だってできることなら幽霊には出会いたくなかったですよ! でもほんとにベッドから――」
「あっ……あああああ!」
突然男が白目を剥いて逃げ出した。俊之は面食らってポカンと口を開ける。……どうして突然?
きょとんとしたまま、男が見ていた方を見やる。――主に、ベッドの下を。
『はあい』
「ひいいいいっ!」
俊之は甲高い叫び声を上げて、ベッドの上で体勢を崩した。ベッドの下の幽霊から離れたくてもがいていたはずなのに、勢い余って反対側から転げ落ちる。丁度反対側から髪の長い幽霊と目が合って、俊之は泡をふいた。
『何よ何よー。もう見慣れたんじゃないの? また同じ手に引っかかって』
声の主は、またしても絵里子だ。そう、そのことには気づいていた。だが、実際に見ると心臓に悪いのだ。何度見ても、長い髪で顔を覆っている容貌は恐ろしいし、辺りの空気は生暖かいし、身体は透けているし……。
おまけに、調子に乗って怖い話をしていたところ、それと全く同じ状況で幽霊がやってきたのだ。驚かないわけがない。
「や、止めてくださいよ、ほんとに……」
まだ心臓がバクバクしている。
俊之は冷や汗を流しながら落ち着かせていると、叫び声を聞きつけたのか、タバコの男が病室に駆け込んできた。絵里子は、パッと姿を消した。
……あの人は驚かさないのか。
俊之は若干理不尽に思った。
「何事だ!? あいつはどこに行った!」
「あ、あの、さっきここに幽霊が出て……あの人、逃げて行っちゃって」
そういう間に、またもや足音が響き渡る。年甲斐もなく逃げ出したのが恥ずかしかったのか、あのひげ面の男が戻ってきたらしい。だが、彼は病室には入らず、顔すらも見せないまま、震える声で言った。
「もう、もう俺はこんな所嫌だ! 俺は車の中で夜を明かす!」
「何言ってんだ……。幽霊だと?」
「本当に見たんだ! 髪の長い幽霊! 俺は車の中で寝る!」
そう宣言した後、しかしすぐに彼はハッとしたように、恐る恐る声を絞り出した。
「あっ、や、お前も一緒に車で寝ようぜ……。後部座席はお前に譲るからさあ。俺は助手席で丸まって寝る! ガキはトランクにでも詰めておきゃいいだろう!?」
どうやら、たとえ車の中であっても、一人ではいたくないらしい。
タバコの男の目が、次第に呆れを含んだ者に変わっていることには気づかず、男はもう一度叫んだ。
「とにかく! 俺はもうここには来ねえからな!」
「あ、おい!」
ひげ面は階段の方に走っていき、タバコの男はそれを追っていき。
見張りがどちらもいなくなった。普通ならば、今が絶好の逃げる機会なのだが、しかし俊之は現在両手両足を縛られている。転がったまま廊下に出ることは可能だが、成人男性二人相手では、すぐに捕まってしまうのがオチだろう。
どうしたものかと俊之が途方に暮れていると、入り口からひょっこり顔を出す者がいた。――今度は、幽霊などではない。
「俊之君」
「み、実里?」
「行っちゃったみたいだね。でも急がないと」
呆気にとられる俊之をよそに、実里は笑って片手を掲げた。初めて見るものではあるが、その手にしっかりとメスが握られているのを見て、俊之は頬を引きつられた。
「ちょっとじっとしててね」
頼まれなくても、じっとしている。
運動神経は非常に良いのだが、手先は非常に不器用なのである、彼女は。
男たちが帰ってくるのが先か、それとも実里がシーツの縄を切ってくれるのが先か、はたまた彼女が誤って俊之の手を切ってしまうのが先か。
俊之は今日一番緊張していた。男たちにこの現場を見られるのも非常にまずいが、血みどろにもなりたくない。
「――できた!」
だか、俊之の心配をよそに、実里は、ここ一番での不器用発揮は回避したようである。俊之は盛大に胸をなで下ろした。
「さっきの、すごい叫び声だったね」
実里の方も緊張が解けたのか、シーツを解きながら小さく笑った。
「だってまさか、本当に現れるとは思いもしなかったから……」
「俊之君の話は聞いてたよ、みんなで。丁度いいから、俊之君の話に合わせて驚かせたらどうかって弘樹さんが提案して」
「そうなの? みんなは今どこに?」
「うわあああ!」
遠くの方で、また一つ叫び声が上がった。この声は、ひげ面のものだろうか?
「たぶん、みんなが助けてくれてるのかも。あの人たちを怖がらせて、ここから追い出そうって。ね、早く行こう!」
俊之が完全に自由になると、二人はベッドから降り立った。そして入り口へ歩こうと向きを変えたところ、その動きが止まる。月明かりに、幽霊よりもおどろおどろしい形相をした男が立っていたからだ。
「クソガキが……! こんなことだろうと思っていたぜ。全部お前らが仕組んだんだろ! あと何人にいやがる!」
口調も荒々しく、男はずかずかと部屋に押し入ってくる。俊之は混乱しておどおどするばかりだったが、実里は冷静だった。
「こっち!」
実里に手を引かれ、俊之はベッドの下に潜り込んだ。慌てて男もしゃがみ込むが、大きい図体が邪魔をして、思うように入り込めない。
「調子に乗るなよ!」
男は立ち上がり、苛立ったようにベッドを大きく蹴る。ガタガタと盛大に揺れ、俊之はもう泣きそうだった。しかしそのとき、盛大にカーテンがはためいた。
「――なっ」
そして男が慌てふためいている間に、近くのベッドがひとりでに動き出し、彼に向かって突進していく。
「この野郎……! どこに隠れてやがる!」
手当たり次第そう叫び散らした。しかし、それは余計な一言だったらしく、すぐに彼に向かって三つ者ベッドが襲いかかった。彼を閉じ込め、身動きも出来ない状態にする。
何事かと俊之たちが隙間から覗けば、甲高い笑い声をしながら、絵里子が男の周囲を飛び回っているのが見えた。――なぜだかは分からないが、あの男には幽霊が見えないらしい。しかし、むしろその方が幸せだ。誰だって、髪を振り乱して半狂乱になって笑う幽霊なんて見たくない。
実里に従って、俊之も病室を出た。階段の方へ走るにつれ、あのひげ面の悲鳴が大きくなっている。一体どれだけ怖い目に遭わされたらこんな悲鳴が出るのだろうか。
ようやく階段にたどり着いたとき、暗い中でもぼうっと光るほど、そこは真っ白いシーツで覆われていた。その中心にはひげ面男かいるらしく、くぐもった声が聞こえる。その周囲には、四人もの幽霊がいて、ひどく悪戯っぽい目で彼を見下ろしていた。
『俊之君をいじめた罰ね』
『可哀想に。悲鳴を上げてたじゃないか』
……いや、それはあなたたちのお仲間の幽霊に脅かされただけなんだけど。
『もうここから出て行きなさい。そうすれば、何も危害は加えないわ』
『いやいや、もっといじめて欲しいのなら、ここにいてもいいぞ。我々も丁度退屈していたところだ』
前者と後者で言うことが食い違っている。俊之は思わず半目になった。
『でも、これ以上実里とトシちゃんをいじめちゃ駄目よ〜。トシちゃんをいじめていいのは私たちだけなんだから!』
そして、いつの間に追いついたのか、絵里子が決め台詞のごとく叫ぶ。当事者である俊之にとっては非常に聞き捨てならない言葉だ。誰であってもいじめていいわけがなかろう!
しかし、とは言っても、これほど頼りになる存在もあるまい。彼らは幽霊なので、捕まる心配もなければ、ものを浮かせたり、相手の動きを封じたりもできるのだから。正直なところ、その超能力とも霊力とも言える能力の矛先が、今まで自分に向かなかったことが驚きなくらいだ。その能力を使えば、より一層自分を怖がらせることができていただろうに。
しかしそうゆっくりもしていられない。とにかくここを抜け出さなければ。
俊之たちは、シーツに足を取られないよう、そっと階段を降り始めた。大量のシーツは、階段全体に散らばっていて、一歩間違えれば足を踏み外して階段から落ちてしまいそうだ。
だが、あまりにも二人の注意が下へ向きすぎていて、すぐ側にチキン野郎二号のひげ面男がいることを失念していた。
「捕まえたぞ!」
気がついたときには、またもや俊之が、自身の足を彼に捕まれていた。
「お前たちだけで逃げようったってそうはいかない! お前らも道連れだ!」
『トシちゃん、また!?』
『どんくらいにも程があるの』
――自分が一番それを分かっている!
俊之は諦めたような目を実里に向けた。
「も、もう俺はいいから、逃げて!」
そう、もとはといえば、彼女一人ならば、ゆうに逃げ出せたのだ。ここで二人一緒に捕まるわけにはいかない。
「――そ、そんなわけにいかないでしょ!」
だが、実里は一瞬躊躇った後、右足を思い切り振りかぶって、シーツにまみれた男の身体を蹴り飛ばした。くぐもったような悲鳴が上がる。
『もう、仕方がない子ね』
そして再び、幽霊たちによる一斉攻撃が始まる。シーツを更に投入したり、足を転ばせてみたり。それでもなかなかひげ面は俊之の足を放そうとしないので、それに苛立ったのか、一人の青年幽霊が、なんだか妙な雰囲気をまといながら、ゆっくり彼の前に降臨してきた。
「……な、なんだよ」
女の幽霊よりは怖くなさそうだと思ったのか、ひげ面は笑って挑発してみせる。しかし、次の瞬間、彼は顔色を失った。青年幽霊の後ろに、大量の医療器具が浮かんでいるからだ。正直なところ、俊之たちも言葉を失った。それは……ずるいんじゃないだろうか?
『俊之君から手を放すんだ』
低く落ち着いた声と共に、その中の一つが男の顔すれすれに飛んでいった。
『何やってるんだお前は〜! 二人に当たったらどうするんだ』
呆れたように弘樹が飛んでくる。が、青年幽霊はどこ吹く風だ。
『大丈夫だよ。俺、結構射的とか得意だし』
『そういう問題じゃないだろ! それに結構ってなんだよ! 言い切ってみせろよ!』
しかし、本当に彼は男を傷つけるつもりはないらしく、それ以上器具を飛ばすことはしなかった。
だが、それでも男はすっかり肝を冷やし、ただただ首を縦に振りながら、俊之の足を放した。俊之はこれ幸いと、走って階段を駆け下りる。
「み、みんな……」
『行けよ』
『早く行って』
弘樹と久美子の声がかぶる。二人は驚いたように顔を見合わせ、そして代弁するかのように、弘樹が一人前に出てきた。
『もう大丈夫だ。味方も来たみたいだし、な』
「え?」
始めは、何のことかと俊之たちはきょとんとした。が、徐々に聞こえてくるその音は、二人を見る間に笑顔にさせた。
「パトカー……警察だ!」
ウーウーと鳴り響くその特有のサイレンは、廃墟へとどんどん近づいていた。