11:降って湧いた幸運


 セシリア達の心境とは裏腹に、外は晴天だった。308の五人は、互いの動向を気にしつつも、協力は駄目だというティモシーの言葉が頭をよぎるので、結局門の所で散り散りになった。レドリーとソルは厩舎の方へ向かったのでおそらく山にあるサライユを採ってくるつもりなのだろう。セシリアは途方に暮れた。サライユを売っている店を見つけたとして、どうやって買えというのだろう。今のセシリアには、弟妹達にお土産を買うくらいの財力しかない。パスカルの研究のためにはたく無駄金はないのだ。
 とりあえずはまあ薬屋を探そうと、セシリアは町中へ足を踏み入れた。まずはサライユを売っている店を探し出すことが先決だろう。
 しかし、そんな決意も無残に、セシリアはすぐに出鼻をくじかれた。街に薬屋なんてごまんとあるし、人に薬屋の場所を聞いたとして、いちいちその店にサライユが売っているかどうかなんて調べている暇はない。
 途方に暮れて、当てもなく町中を彷徨い歩いていたとき、セシリアは、小洒落たお店で、優雅にティータイムを決め込んでいた少年と目が合った。

「ノエル!」
「…………」

 ノエルは、それはそれは気まずそうに顔を逸らした。手に持っていた分厚い本で顔を隠そうとしたが、セシリアの目は誤魔化せない。喜々として彼女はノエルの元へ走り寄った。

「寄り道は厳禁って……」

 一基本的には真面目なのだが、妙なところで不真面目なところがあるノエル。セシリアは呆れつつも嬉しそうに勢い込んで尋ねた。

「それとも、もうサライユは手に入ったの? さすがノエルだね」
「……はなからサライユなんて興味ないよ」
「どういうこと?」
「分からないのか?」

 ティーカップをテーブルに置き、ノエルは真っ直ぐにセシリアを射貫いた。

「どうせ無駄だからだよ。そもそも、最初からこの対決は不公平だった。体力、知力が勝敗を分けるのはまだ分かる。でも、そこに財力が紛れ込むのはおかしいだろ? 努力も何もあったものじゃない。きっと、先輩達はハロルドが金持ちだと見込んでこの勝負を持ちかけたんだ」
「えっ、ハロルドってお金持ちなの?」

 本題とはまた別の所に興味を惹かれ、セシリアは疑問を口にした。

「見れば分かるだろ。所作は品があるし、着ている服だって、みんな一級品だ。どうしてこんな所にいるのかは分からないが、相当な貴族だろう」
「へえ」
「僕だって貴族だが、自由にできるお金は少ない。レドリーはいつだって金欠だし」
「なるほど」

 一旦は納得するセシリア。だが、すぐに別の疑問が湧き起こった。

「でも、街にはたくさん薬屋があるんだよ? そこでサライユを見つけるよりも、レドリーやソルが山で見つける方が早いかも。ほら、体力馬鹿だし」
「それこそ不可能に近い。図書館でサライユについて調べたが、あれは素人に見分けられる代物じゃない。紫の花なんてごまんとあるんだ。いち早く山にたどり着いたとして、あのレドリーとソルが見つけられるわけがない」

 一呼吸置き、ノエルは深々と息を吐き出した。

「全て仕組まれてたんだよ、あの先輩達に。お前も言ってただろ、ソルが室長になったら大変なことになるって。その通りだよ。先輩達だって、何が嬉しくてソルを室長にしたがるんだよ。それはレドリーや僕にしたって同じこと。誰が見たって、ハロルドが室長になるのが一番適してる」
「そんな――」

 よどみないノエルの言葉に、セシリアは絶句した。単純に、酷い話だと思った。あれだけ人をけしかけておいて、まさか裏でそんなことが仕組まれていたなんて。

「それって、なんかちょっと悲しいよ。信じてもらえないなんて」
「仕方ないだろう。先輩から見たら僕たちみんな問題児なんだから。その中で唯一ハロルドがマシだっただけだ」

 あのハロルドですらマシ扱いとは……。
 しかし、自分たちのせいで、ハロルドも問題児扱いされてしまっていることは重々承知していたので、セシリアは何も言わなかった。代わりに、深々とため息をつく。

「でも、やっぱりそれでいいのかもね。ハロルドが室長なら安心だし」
「そうと分かればもう話はすんだだろ。僕はここで読書をしてから寮へ帰る。君も時間を潰したらどうだ。ここじゃないどこかで」

 暗に――いや、直接的に拒絶されたセシリアは、渋々ノエルのもとを後にした。ノエルが飲んでいた紅茶はおいしそうな香りがしていたし、他のお客が食べていたケーキも非常においしそうに見えたのだが、ああもあからさまに拒絶されてしまえば、いくら脳天気なセシリアといえど、その場に留まることはできない。

「じゃあいいや。僕も遊ぼうっと」

 折角の外出だ。無駄な労力を使うよりは、楽しんだ方がよっぽど良いだろう。

「弟たちにお土産でも買おうかな。ついでに手紙も書いて」

 田舎の妹たちにお土産を買ったらどれほど喜ぶだろう。
 セシリアは鼻歌でも歌いたい気分で、露天商を見て回った。さすが都会と言ったところか、おいしそうなお菓子や可愛い小物など、山ほどある。自由にできる小遣いは少ないが、お土産くらいお金に糸目をつけずに出費したい。セシリアは吟味に吟味を重ねて、お洒落なケーキ屋に並ぶことにした。よほど人気があるのかその店は、長蛇の列である。はやる胸を押さえながら、セシリアは今か今かと己の番を待つ。

「どれにしようかなあ……」

 あと一人で自分の番だと言うところで、セシリアは自分のすぐ前がまだ小さい男の子だと言うことに気がついた。店の前に並ぶケーキを吟味することに夢中で、周囲のことに無頓着だったのだ。
 少年は、うんうんと唸りながら時間いっぱい悩み、店主の咳払いを持ってしてようやく決めたようだ。

「これ一つください!」

 男の子が指さしたのは大きなモンブラン。おやつに食べるのかなと、セシリアの口元は知らず知らず弧を描く。

「これで足りますか?」

 男の子は、背伸びをして店主に銀貨を差し出す。店主は生返事を返しながらお金を受け取った。その後、ケーキを箱に入れ、お釣りと一緒に少年に渡す。少年は、嬉しそうにケーキを受け取り、お釣りを確認もせずきびすを返そうとしていた。

「待って」

 堪らずセシリアは少年に声をかけた。半ば反射的な行動だった。

「君、お金の計算はできる?」
「僕?」

 問われた少年は、頼りなく首を振る。

「じゃあ、自分が渡したお金はいくらか分かる?」
「銀貨一枚だよ」
「受け取ったお金を見せてくれない?」

 できるだけ柔らかい口調を心がけたつもりだったが、それでも少年は怯えたようだ。恐る恐るセシリアに片手を広げる。そこには、数枚の銅貨しかなかった。

「こんな小さい子に向かってお釣りをちょろまかすなんて、恥ずかしくないんですか?」

 セシリアはキッと店主を睨み付けた。店主はビクッと肩を揺らす。

「な、何を根拠に、そんな……」
「この子の後ろから見てましたから。明らかにお釣り少ないですよね? この子が計算できないことを見越して誤魔化したんですよね?」
「言いがかりは止めろ!」

 店主は机を叩いて虚勢を張った。だが、それにしては声が震えているので、全くなんの脅しにもならない。セシリアはぐいっと顎を突き出した。

「ちょろまかした差額分、早く払ってください」
「う、うるせえ! 俺はそんなことやってない!」
「じゃあどうしてモンブラン一つでお釣りがこんなに少ないんですか。説明してくださいよ」
「ぐっ」

 店主の視線が盛大に狼狽える。セシリアの後ろに並ぶ人たちが、シラーッとした空気を醸し出すのが分かった。

「騒ぎを大きくしたら、困るのはあなたの方ですよ」

 とどめにセシリアがそう声を落として言えば、店主は観念したようにごそごそ手を動かした。セシリアと目を合わせないようにして、テーブルの上にお釣りを投げ出す。

「どうも」

 こんな所においても、少年には届かないだろうとセシリアは文句を言いたくて仕方なかったが、そこはグッと堪えて自分でお金を集める。その後は、戸惑う少年の手を引いて、人混みから離れた。路地まで行くと、少年の前にしゃがみ込んで視線を合わせた。

「はい、これ。君のお釣りだよ」
「でも、僕もうさっきもらったよ?」
「あの人に騙されてたんだよ。本当はもっともらえるはずだったの」
「そうなの?」

 純な目で問われ、セシリアは困ったように笑う。

「世の中みんなが悪い人ばかりじゃないけど、気を抜いちゃ駄目だよ。騙されないように、賢くならなきゃ」

 少年の手にしっかりお釣りを渡すと、セシリアは立ち上がった。

「君の家、ここから近いの?」
「うん。教会の近く」
「送っていくよ。お父さんお母さんも心配してるでしょ」
「うん」

 ポンポンと少年の頭を撫でた後、セシリアは歩き出した。少年も置いていかれまいと後を追う。セシリアは彼の足並みに揃えた。

「モンブラン、おいしそうだったね。おやつに食べるの?」
「これ? ううん、お父さんにあげるの。お父さん、今日が誕生日なの」
「そうなんだ。良い買い物をしたね。きっとお父さんも喜んでくれるよ」
「うん!」

 折角の記念日なのに、自分の行動がそれに水を差したのではないかとセシリアは若干後悔を覚えたが、すぐに思い直した。どちらにせよ、悪いのはあの店主だ。いろいろ他にやり方はあったかも知れないが、割って入ったことにセシリアは後悔していない。

「ここだよ、僕の家」

 少年が指さしたのは、こじんまりとした家だった。だが、他と違うのは、その出入り口に看板が掲げられていことだ。そこには薬草の絵が描かれ、容易に何の店かは想像がついた。
 その場では、セシリアは一瞬感じた違和感の正体に思い至ることはなかった。すぐに少年に手を引かれ、家の中に連れて行かれたからだ。

「お父さん!」
「おお、サミュエル。遅かったな」
「うん、ただいま!」

 入り口でセシリアの手を離し、サミュエルは父親に抱きついた。置いてけぼりになったセシリアは、居住まい悪くその場に立ち尽くす。すぐに父親が彼女の存在に気づいた。

「サミュエル、この人は……」
「お兄ちゃん! 僕が悪い人に騙されそうだったのを、お兄ちゃんに助けてもらったんだ」
「悪い人?」

 説明が全く足りていないサミュエルの言葉に、父親は首を傾げる。セシリアは慌てて付け足した。

「お店の人に、お釣りを誤魔化されてたんです。見ていられなくて、僕が声をかけて……」

 自分で言うのは正直気恥ずかしかった。案の定、父親は目を白黒させながら、セシリアに向かって何度も頭を下げた。

「そうだったんですか。なんとお礼を言っていいものか。本当にありがとうございます」
「そんな、大したことは」
「その制服を見るに、トラヴィスの学生さんですね? お優しい上に優秀だなんて、さぞ親御さんは鼻が高いでしょうね」
「いえ、それほどでも」
「うん、格好良かったよ!」

 親子は煽てるのがうまかった。次第にセシリアは胸を張る。

「あそこで黙ってるのは男じゃないからね。それに、僕も昔からよく騙されてたんです。お釣りとか、ホラ吹かれたりとか。だから必死になって勉強したんです。今じゃ、トラヴィスの首席をとるくらいには成長しましたよ」
「首席? そりゃとんでもなく優秀じゃありませんか!」
「しゅせき? そんなにすごいの?」
「ああ、すごいさ。何百人といる中の一番だからな」
「すごい、すごい!」

 サミュエルは素直にパチパチ拍手を送る。セシリアは一層鼻を高くした。そんな光景を、父親は目を細めて見やる。

「お茶でも一杯飲んで行かれませんか?」
「え、僕ですか?」
「はい。サミュエルのお礼にぜひ」
「あー、お誘いは嬉しいんですけど、あまり長居できなくて……。折角のお父さんの誕生日なんですから、水入らずで」

 有り難い申し出だったが、セシリアは何とか断った。
 あれ、でも、どうして長居できないんだっけ? 何か大切なことを忘れてるような……。
 しばしセシリアは固まった。もう少しで思い出せそうな何かがすぐそこまで来ていた。頭をひねりながら視線を彷徨わせる中、彼女の目はあるものを捕らえる。

「さ、サライユ?」

 その単語を見た時、セシリアは全てを思い出した。今日の己の使命を。

「おや、よくご存じですね。店先に直接並ぶことはない薬なのに。さすがは首席ですね」
「いやあ、それほどでも……」

 言いながら、セシリアの視線は泳ぐ。ちょっと聞くだけ、ほんのちょっと、世間話で……。

「いくらぐらいするんですか?」
「サライユですか? 季節によって、相場が激しく変動しますからねえ」

 父親は難しい顔をした。

「今はまだ春先なので、そんなに高くはないですが、これが冬になると目玉が飛び出るくらい高くなります」
「へえ、そうなんですか……」

 相づちを打ちつつも、セシリアの目はサライユから離れない。サミュエルはピンときた。

「もしかして、お兄ちゃん、サライユ欲しいの?」
「へっ!?」

 突然問われ、セシリアの声は裏返った。慌ててサミュエルを見れば、彼はいたって真面目な顔をしていた。まさか子供に心を読まれるなんてと、セシリアはすぐに表情を取り繕う。

「まあ、欲しいと言えば欲しいんだけど……。でも、そんなに手持ちもないし」
「あげるよ」
「えっ!?」

 再びセシリアは素っ頓狂な声を上げる。そんな彼女を置いてけぼりに、サミュエルは棚からサライユを一輪掴み、セシリアに差し出した。

「はい」
「い、いや、さすがにそんなわけには……。僕、お返しできるようなものは何も」
「いいんですよ。もしご入り用なら、もらってやってください」

 父親はにこにこ言うが、はいそうですかと簡単に頷けるわけがない。セシリアは伺うように彼を見る。

「でも、サライユってすごく高価なものなんですよね? さすがに受け取るわけには」
「いただいた善意を、善意でお返ししてるだけ。そこにお金なんて関係ありませんよ。それに、そのサライユは、その子がとってきてくれたものなんです。私にはどうこう言えた立場じゃありません」

 父親は微笑んでサミュエルを見ると、彼は得意げに胸を反らした。セシリアは思わずえっと声を上げる。

「でも、サライユは、素人じゃ他の花と区別がつきにくいって聞いたんですけど」
「この子、まだ幼いのに目利きができて。薬草を見分けるのが上手なんです」
「へえ……。すごいね」
「うん! 昔から得意なの!」

 セシリアが頭を撫でれば、サミュエルは本当に嬉しそうに目を細めた。

「はい、どうぞ」
「……ありがとう」

 わずかな躊躇いの後、セシリアはサライユをもらい受けた。こんな良い子から、純粋な善意でサライユを受け取ることに、若干の後ろめたさと共に。
 二人は感謝の気持ちで渡しているのだろうが、このサライユは、たかが室長選びのために使われるのだ。男達のプライドをかけてはいるが、そこにはいくつかのやましい思惑だってある。
 僕たちはなんて醜いんだ……。
 セシリアは心に傷を負ったまま、その薬屋を後にした。


*****


 だが、単純なセシリアは、落ち込んでばかりもいなかった。すぐに気を取り直し、元気に宿舎へと向かう。申し訳なさはあったが、そう後悔するよりも、自分の使命を果たした方が、サミュエルの善意も浮かばれる、そう思ったのだ。

「早かったな」

 息を切らしながらティモシーの部屋の扉を開けると、優雅に茶を飲んで寛ぐ彼と目が合った。後輩が一生懸命頑張っているというのに、自分はお茶か。
 喉まで出かかった言葉をすんでのところで堪え、セシリアは無言のままサライユを差し出した。ティモシーの芽がゆっくり見開かれる。

「なっ……まさか、サライユか!?」
「どうして驚いてるんです? 僕が持ってくることがそんなに不思議ですか?」
「い、いや、そういう訳では」

 慌てて首を振るティモシーだが、己の目までは制御できないようで、なおも疑り深い目をサライユに向けている。

「偽物じゃないだろうな? こんなに早く取ってくるとは」
「いや、本物だ」

 サミュエルを押しのけ、ずいっとパスカルが間に割って入る。

「しかも質が良いな……」

 了承も得ずにパスカルはサライユを奪い取った。ジロジロと見つめながら、徐々に彼の口元がにんまり弧を描く。

「いくら払ったんだ?」

 機嫌が悪いのを隠そうともせず、ティモシーはそう尋ねた。

「これですか? もらったんですけど。ちょっと人助けして、その時にお礼だって」
「お礼? 怪しいな。こんな高価なものをお礼に、だなんて。後ろめたい経路から買い上げたわけじゃないよな?」
「失礼な。僕はそんなことしませんよ」

 セシリアは憤慨して言い返した。

「そもそも、たとえそうだとしても、別に構いませんよね? 知力、体力、財力のどれを使っても良いとは言われましたが、禁止事項は言われませんでした。駄目なら最初から駄目だと言っておくべき――」
「この子に軍配をあげよう」
「なっ!」

 セシリアの声を遮って、パスカルがいち早く断言した。ティモシーが驚いたように彼を見やる。その行動一つだけで、セシリアには全て合点がいった。ノエルが言っていたハロルドを室長に、という計画は、やはりこのティモシーが企てていたのだと。

「いや、だが、他の者もサライユを取ってくる可能性が……」
「あれ、早い者勝ちじゃありませんでしたっけ?」
「うっ」

 ついにティモシーは何も言い返せなくなった。その様子に、セシリアはなんとも胸のすく思いだった。

「おめでとう」

 パスカルもポンポンとセシリアの肩を叩く。そしてその後、嬉しそうにティモシーの部屋を出て行った。サライユと共に。
 セシリアの勝利だと宣言してくれたことは嬉しいが、結局彼の目的はサライユだったのだと、セシリアはどうも納得しきれない思いだった。
 なんだか、良いように利用されただけのような……。

「はあ」

 釈然としないセシリアを横目に、ティモシーは盛大なため息をついた。彼の鬱々とした雰囲気に、セシリアは腕を組んだ。

「先輩! あからさまにがっかりしないでくださいよ! 僕、しっかりやって見せますから!」
「だから不安なんだ……」

 ティモシーは頭を抱える。
 室長として、一番ふさわしいと思ったのはハロルドだった。その次に挙げるとすれば、セシル。だが、それはあくまで順番をつけるのであれば、という話である。あくまでセシリアは二番目という立ち位置にはなるが、もちろんハロルドとの間には、決して越えられない壁が立ちはだかっている。

「室長なんて言い出すんじゃなかった……」

 ティモシーはがっくり項垂れながら、308の先行きに対して肩を落とした。先輩のそんな心配などどこ吹く風で、セシリアはやる気に満ちあふれていた。